HSP(Highly Sensitive Person)とは、外部からの刺激や他人の感情・周囲の環境に対して通常よりも敏感に反応しやすいという気質を持った人のこと。5人に1人程度いると言われています。私もHSPと自認している一人(正確にはHSS型HSP)なのでよく分かるのですが、感覚や感情の刺激を受けすぎると本当に疲れますよね。外出した翌日はベッドから出たくないし、起きてもぼーっとしてしまい、気づいたら夜になっている感じです。

おそらくHSPが一番恐れている、あるいは避けたいと思っているのが、この感受性が高いことによる感覚的・感情的・精神的な疲労感やストレスではないでしょうか?

それを反映するかのように、SNS上には、HSPさん向けに刺激を限りなく少なくしたシンプルなお部屋、モノが最小限のミニマリストのようなお部屋をおすすめする投稿が溢れています。

「外の世界は刺激に満ちている、だから、内の世界はシンプルに」というのももちろんアリだし、そうしたくなる気持ちはとても分かります。一方、感受性が高いことをネガティブに捉え、「疲れ」にばかりフォーカスしてしまうのは「もったいなくないか?」とも思うのです。

感受性(外界からの刺激や情報に対して敏感に反応し、それを深く感じ取る能力)がせっかく高いのであれば、これを生かした方が幸せになれるはず。HSPはちょっとした刺激でも、喜びや感動を非HSPよりも感じ取れるからです。私はそう信じて、「好き」や「ときめき」をベースにお部屋づくりをしています。

その際に意識しているのが「五感」。刺激を感じ取るセンサーだからです。この5つのセンサーの「好き」をそれぞれ満たしてあげる、そんな感覚でやっています。

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、「味覚」を除く五感それぞれのポイントをまとめてみたので参考にしてみてください(味覚はちょっとややこしいのでここでは割愛いたします)。

1. 視覚

お部屋づくり=「視覚」と言っても過言ではないくらい、お部屋全体の雰囲気を決める大事な要素。そのため、語り出したら正直キリがないので、ここでは1つだけお伝えしますね。HSPさんはとにかく「シンプル」「無難」を極めてしまいがちだけど、「これを見ていたら和む」「うっとりしてずっと眺めていられる」というものを試しに飾るor取り入れてみて欲しいのです。

これは、好きなものに触れることで癒される、あるいはいい刺激を受け取れる(気分が良くなる)という効果ももちろんあるのですが、目線が自然といってしまう場所(フォーカルポイント)を作ることで、空間が視覚的に整理され、落ち着きを感じやすくなるというメリットもあります。殺風景のお部屋だと目はどこを見たらいいのか分からなくてソワソワしちゃうので、目が落ち着ける場所を作ってあげるという感覚でやってみてください。

2. 聴覚

目に見えないけれど、リラックスや集中力に大きな影響を与えるのが「音」。その空間(あるいは時間)で、どんな音楽を聞きたいですか?家具や雑貨を選ぶように、考えてみてください。

私の場合、仕事中はゾーンに入りやすくなるアンビエント音楽、リラックスタイムはカフェで流れているようなジャズやピアノ音楽を聴いていることが多いです。音楽は家具や雑貨よりも手軽に空間の雰囲気を変えられるので、その時の気分に合わせていくつかバリエーションを持っておくのがおすすめ。

集中したい時はこれ一択!
こちらは好きなピアニストの方。癒されたいときに聴くことが多い。

無音の状態は一見リラックスできるように思えるかもしれませんが、完全な無音は人によっては不安を感じたり、雑音をより強く意識する原因にもなります。特に、HSPの場合、無音の空間でわずかな雑音(ドアの音、遠くの車の音など)が気になることがあると思いますが、軽いバックグラウンドミュージックがあることで、気になる音をマスクする(打ち消してくれる)効果もあるんです。

3. 嗅覚

視覚同様、嗅覚も目には見えませんが、空間の雰囲気に影響を与えています。特に、特にリラックスや活力を引き出すのに有効です。

一番手軽なのが、アロマやエッセンシャルオイル。集中力を高めたければローズマリーやペパーミントなどのスッキリ系、気分を高めるにはシトラス系、リラックス効果ならラベンダーやカモミールなどがおすすめ。効能よりも自分の好きな香りを優先するのももちろんOK。少し手間ですができれば実店舗に足を運んで、ご自身の「嗅覚」を使って選んでみると、よりしっくりくるものと出会えます。

4. 触覚

触感は、お部屋の中で直接的に身体に影響を与える要素。嗅覚同様、ご自身で実際に触れてみて「心地よい」と感じられることを第一優先に選んでみてください。お部屋の中で触覚を意識した方がいいものはたくさんありますが(イス、机、ソファー、ラグ、クッションetc.)、あえて1つだけ選ぶとしたら、寝具です。

単純に触れている時間が一番長いということに加え、本当に疲れ果ててしまったときに助けてくれるというのがその理由。私の経験上、引きこもりたくなるレベルまで疲れてしまったら、どんなに好きなものでも視覚、聴覚、嗅覚の刺激は受け付けなくなってしまいますが、触覚だけは大丈夫なことが多いのです。

ちなみに写真はウェイテッド(加重)ブランケット。文字通りあえて重みを持たせているため少し重い(5kg)のですが、包まれているような心地よい圧迫感が得られ落ち着きます。

HSPが持つ特性を最大限に活かし、視覚、聴覚、嗅覚、触覚をうまく活用することで、幸福感を高める空間づくりが可能です。よろしければ取り入れられそうなところから試してみてくださいね!