そのように思う方もいるかもしれません。まずは、このワークショップを始めるに至った背景について少しお話しさせてください。

私は小さな頃から、「自分らしく生きたい」「幸せになりたい」という気持ちを抱き続けてきました。自分だけがみんなとちがう気がして、居場所がないような感覚がずっとあったからです。

ただ、いじめを受けていたわけでも、大きな家庭の問題があったわけでもありません。友人もいて、家族との旅行も楽しみ、やりたいことを自由にさせてもらえる環境で育ちました。勉強もそれなりに得意で、高校・大学時代にはアメリカへ留学。社会人になってからは翻訳をしながら海外ノマドワーカーとしてドイツやデンマークで暮らしていたこともあります。

一見「自由で恵まれている」と思われるような人生ですが、心の奥にはどこかぽっかりと空虚感があったのです。

その感覚が変わり始めたのは、帰国後、実家の自室を自分の好きなもので満たしたとき。手元にあった「もったいない」と捨てられないものや、なんとなく置いていただけのものを一掃し、心から「好き」と言えるものだけで空間を作り上げました。

そんな部屋に身を置いてみて、ようやく「自分らしさ＝自分の気持ちに正直でいること」だと気づいたのです。

実は子どもの頃から、音楽、スポーツ、アニメ、芸能人、恋愛といった「みんなが好きなもの」に興味が持てず、孤立しないように話を合わせることが癖になっていました。そんな私にとって、本当に好きなものだけに囲まれる時間は新鮮で、とても心地よいものだったのです。

自分の部屋を「好き」が詰まった「お城」に変えてみてはじめて、人は心から大切にしたいものを大切にすることで、満たされるのだと気づきました。日常のちょっとした瞬間に「幸せ」を感じられ、部屋にいるだけで心がうっとりするようになったのです。そんな日々を重ねるうちに、自然と自分のことも好きだと感じられ、自分軸で生きられるように。

正直言うと、今でも他人の目を気にしたり、無意識に比較したりして自分を見失うこともあります。そんなときでも、自分と繋がった部屋が羅針盤のように本来の自分を取り戻すサポートをしてくれます。さらに、お部屋づくりを通して得た「自分の気持ちに正直になればうまくいく」という成功体験が、人生を前に進める支えとなっています。

この積み重ねにより、じわじわと部屋の外に広がる世界にも居場所が広がっていると感じられるようになったのです。素の自分を表現し、それを受け入れてもらえる喜びも知りました。私の紡ぐ言葉や世界観を好きだと言ってくれる方にも出会えるようになりました。

この経験から、「自分らしい人生」は自分の部屋から始められると確信しています。そして、表面上はうまくいっているように見えても、心の奥でどこか生きづらさを感じている方々に、一番身近な環境である「自分のお部屋」を活用して自分を取り戻してほしい。周囲の期待や社会のルール、他人の価値観に流されるのではなく、自分が主役の人生を生きてほしい。そんな思いで、このワークショップを作りました。